72.海外でリーダーシップを発揮して働くために
ここまで整えた上で、営業活動に移るが、大事なのは行動が定着するまで
私が彼らと同行するということである。私は40歳を迎えていたので若くないし、
言葉も堪能ではないので結構つらい。
だがこれまでの方策の説明は、英語と通訳を介したベトナム語のちゃんぽんで
伝えられているので、どこまで彼らが理解できているのかわからない。
理解できていないと、正しく行動できず、結果業績も上がらない。これを手っ取り
早く定着させるには、私が同行することで浸透させていくしかないと思った。
あとは、もし方策が間違っていたときに私自身が同行によって、現場でそれを
直接確かめることができるというメリットもある。
この同行方法は、各自と同行の予定を前もって決め、まずは全員と同行する
ということである。前述したように同行日の前には、私がお客さんに伝えたいことを、
英語とベトナム語でメモして渡しておくというあのパターンだ。
且つ必要なセールスツールも用意しておく。
相変わらず私の英語は下手なままだが、これを繰り返し行うことによって、
現地スタッフとの意思疎通がどんどんできるようになっていった。
面白いもので言葉は、その人の考え方、話す癖などがわかってくると、少々
文法的な誤りがあっても通じてくるものである。反対に新入社員や初めて会う人とは
意思疎通が非常に難しい。
それはその人の考え方や、話す癖などがわかっていないからである。
だから現地スタッフとは、間違えようが、理解できないでいようがどんどん話をしていく
機会をつくることである。
何も堅苦しく仕事の話だけである必要はないし、むしろくだけた遊びの話も入れたほうが、
現地スタッフは心を開いてくれる。そして、そのうち通訳無しでも、意思疎通がある程度
できるようになる。
日本人だけで固まるのは楽だが、度が過ぎると一番大切な現地スタッフとの
コミュニケーションがおろそかになる。だからできる限り、言語面できつくても、
現地スタッフの中に入り込んでコミュニケーションをする努力をした方がいいと思う。