99.海外でリーダーシップを発揮して働くために
―コラム(社員募集、面接について)―
私は、所長として赴任したので、営業スタッフを募集して雇う際の面接も担当することとなった。
日本ではこんなことをしたことも無かったので、初めての経験であった。
基本は英語でのやり取りとなるが、こちらも下手であるし、候補者も下手である場合も
多いので通訳やベトナム人シニアスタッフにも同席してもらう。逆に候補者が英語ぺらぺらの
場合もあった。そんな時は、私自身が格好悪くて自己嫌悪に陥りそうになった(笑い)。
一番最初の面接時には、前述したハノイの所長が来てくれた。彼は、ベトナム語は当たり前の上、
英語、日本語も操る。最初の面接は10人ぐらいだったかと記憶している。
面接が終わったとき、私はいわゆる優秀と思われる順番から候補としていくと考えていた。
大体一番優秀と思われる人は、他の面接官も一致するものだ。(2番手、3番手は意見が
割れる場合があるが)
このときも、一番優秀と思われる人は一致した。私は当然、その優秀と思われる人を候補に上げた。
しかし、ハノイの所長からあることを教えられる。ハノイ所長曰く『一番優秀な人は、大体英語を
うまく操り、しゃべり方も論理的で理路整然としている。だからこそ優秀に見える。
実際に優秀な可能性も高い。しかし、そういう人は、ベトナムでは1社で長続きせず、
地位や給与アップと、能力獲得の機会を求めて、大抵次々に転職していく。
だから誰もが優秀と認める人は、少し採用するかどうかよく考えた方がいい』。ということであった。
結果的にこのときも1番優秀な人は、当社に合わないということで、お断りした。基本は、
まじめであること。素直であること。
ただし、マネージャー職以上での募集の場合は、これに加えて、過去の実績や、やはり
自分の意見をしっかり持っていること。論理的であることが求められる。
さらに目上の人を重視する文化があるので、ある程度の年齢であることも重要だ。
いずれにせよ、日本と異なり、ベトナムでは転職が多い。ある程度育ってから抜けられると
やはりきつい。だから、当社は所属する組織と共に育っていくという考え方に合う人物を主に
採用していた。
その結果かどうかわからないが、当社のベトナム人転職率は、平均転職率よりも低い
傾向にあった。もちろんこれは、企業によって考え方が異なるので、各企業が考えていく
べき課題と思われる。