shyumahaのブログ

海外でリーダーシップを発揮して働くために、私が海外勤務経験から得た体験記を記しています。

98.海外でリーダーシップを発揮して働くために

問題は、非定型の業務である。これに関しては様々な判断要素を含むので、

ベトナム人課長には、『最初は面倒だが、私に相談してください。ただし、他の

ベトナム人スタッフがいないところで』としておいた。

 

これは、結局彼が私と相談して決めると、他のベトナム人がやっぱり私が決めていると

取られるからである。その結果、大体相談は、就業時間を終えてからとなった。

 

これは自分でも勉強になったが、あらためてベトナム人の優秀さを知ることにもなった。

最初の内は、彼が相談案件を持ってきて議論すると、私は『なぜこのような判断をしたのですか?

その理由は?理由がうまく述べられなくてもいいから、とにかくあなたがそのように判断した

根拠を教えてください』。このやりとりが続いた。

 

でも彼はうまく答えられず、私から『私なら、まずこういう仮説を3つぐらい立てる。

そしてその仮説の裏づけとなるこのようなことを調べて、もしこういう結論が出たら、

仮説1と判断する等。』

 

『仮説がうまく作れないなら、スタッフに聞く。これ以外の仮説の考え方があるか等。

なにもひとりでかっこよく決める必要はない。リーダーとしてみんなの力を引き出せばいいのだから』

と伝えた。

 

最初は私に返されて再度、調べるということが何ヶ月か続いた。しかし、3,4ヶ月ぐらい経った後、

彼は私の質問にスラスラ答えるようになった。それだけでなく、私の想定外のことも考えるようになっていた。やはり現地ベトナム人の方が思考方法を体得すれば、現場を深く知っている分、

深みのある考えを導いてくる。

 

この段階にいたって、私は彼には、非定型でもある程度連続性や、再現性のある問題は任せられる。

と判断し、ベトナム人スタッフに伝える前に私にそっと教えてくださいと伝えるだけとなった。

 

もちろんこの後、彼の判断に大きな問題は無かったし、彼も課長として他のベトナム人スタッフに

認められてきたようだった。

この彼とのコミュニケーションは、一切 通訳を入れなかったので(通訳を介すると意味が無い)

かなり、時間のかかる、骨の折れる打ち合わせとなった。

 

しかし、これを通じて、彼とのコミュニケーションはほとんど阿吽の呼吸に近くなった。

私の方がはるかに英語は下手なのだが、彼は私が2,3語話し始めると、すぐに私の思考を

理解するようになった。まあ私がワンパターンな思考であることも一因であるが(笑い)、

やはり彼が優秀だったのだろう。