10.海外でリーダーシップを発揮して働くために
所長が「はじめよう!」とベトナム人社員に声をかけた。いよいよパーティ開催だ。
人数調整について、あとからわかったことだが、このパーティは、2006年時点で
約8回開催経験があり、招待人数を無視するベトナム人のお客様の来場者数を、
今までの経験から予測をしているようだ。
(といっても、私が所長を務めた間にほんの数回外れることがあり、あわてて、椅子とスペース
を用意したことを覚えている)
パーティの始まりは、当社ではベトナムの代表(社長)がスピーチを行う。1年間のお礼と
今後の戦略などが主な内容だ。社長は今のところ日本人なので、日本語で話して、
通訳がベトナム語に変換する形式だ。このため、単純に倍の時間はかかる。
所長いわく、スピーチは簡潔に、明快に且つユーモアを入れてというのが特にベトナムでは
大事らしい。
日本のようにまじめくさって、難しいことを言うと伝わらないようだ。(また日本ではなじみ冒頭
の枕詞、雨の降る中 足元の悪い中わざわざお越しいただき。。。などの足元の悪い中等は
うまく訳すベトナムの言葉が無いようなので使わない方がいいとのこと。)。。。
この社長のスピーチに続いて、新商品紹介のプレゼンテーションに入る。このパートは当社
ベトナム人スタッフが担当する。あらかじめ作成したパワーポイント資料をスクリーンに投影
して発表する。当然すべてベトナム語である。感心したのは、なかなかきれいなプレゼン資料
をパワーポイントで作っていることだ。結構 お客様も真剣に聞いている。そして、プレゼンが
終わったところで、日本人駐在員と代理店の代表者が全員壇上に呼ばれた。
社長から順番に名前を呼ばれ、お客様にシンチャオ!(前述したように、こんにちは という意味) と挨拶する。
続いて、グラスにビールをなみなみと注がれ、(モッツ、ハイ、バー、ヨー! 1,2,3乾杯という意味)の掛け声と共にみんなで乾杯!。これを皮切りに、大音響の音楽が流れ、パーティがスタートした。
食事は当然ベトナム料理だが、コース形式になっており、サラダ、スープなどが順々にでてくる。
多少はゆっくり食べられるのかな?という私の甘い幻想は、この後一気に打ち砕かれ、
ベトナムの飲み文化というものを強烈に体験させられることになる。
まず、2品目を食べ終えたぐらいのところで、日本人駐在員たちが立ち上がった。?何?どうやらお客様の各テーブル(10人がけ丸テーブル15)をグラスをもって乾杯して回るようだ。
グラスといってもベトナムは、小ジョッキぐらいの大きさがある。このため、かなりの量だ。
加えて私はアルコールがメチャクチャ弱い。しかし、まあ断るわけにもいかず、みんなの後
について回り始めた。
ベトナム人のお客様は、ジョッキになみなみと注いでくる。
すこしでもアルコール量を減らすために、でかい氷をたくさん入れる。しかしこの氷がまた、
バケツに入っており、何回か使い回しとなるため、衛生的にはかなり劣悪と思われた。
でもそんなことは言っていられない。テーブルを回るたびにお客様は100%
(モッチャンファンチャン)といってくる。これは一気飲みということだ。
弱い私は、ジョッキ1,2杯の一気飲みですでに足元はふらふら。でも2テーブル回っただけ。
『えっこれ各テーブル全部一気飲み?そんなアホな。。。』と思いながら、何とかがんばる。
(このときは、はじめてなので手の抜き方も知らないし、所長がメチャクチャ強い人なので、
日本人はみんな強いと思われている、且つぎりぎりまでがんばってお客様を楽しませなくて
はならないと、まじめな私は考えた。)ふらふらになりながら、余興のゲームが入ったので、
ちょっと席に戻って休む。もう顔は真っ赤だし、心臓はバクバク。
ゲームはビンゴゲーム。景品は、1位、2位は、なんと薄型TVや冷蔵庫等をそろえている。
そのうち、カラオケがはいって、ベトナム人が歌いだす。所長もベトナム語で歌っている。
すごいなーと思いながら、私は転勤してこのノリについていけるのか?一抹の不安を感じていた。