shyumahaのブログ

海外でリーダーシップを発揮して働くために、私が海外勤務経験から得た体験記を記しています。

3.海外でリーダーシップを発揮して働くために

第1章:ベトナム赴任準備

1)突然の海外転勤辞令

あれは忘れもしない日だったが、2006年11月1日突然直属の上司に声を掛けられた。

『今日就業後、時間空いている?少し話したいことがある』。私は、この時期に人事異動

の内示は考えにくいので、何か自分が悪いことでもしたかな?と勘繰った。

 

なぜなら、当時私が在籍していた会社の人事異動は、10月と4月。そして人事異動の

内示は、その1,2ヶ月前が基本だった。つまり11月1日は、人事異動の内示であれば

あまりにも期日が中途半端と感じたのだ。

 

変だな?と思いつつ、その日の就業の終わりを告げるチャイムがなり、私は直属の上司

にミーティングルームに呼ばれた。さあ、何を言われるのか?と半分緊張していた。

 

ミーティングルームに入って上司と向き合うと、その上司はおもむろに言った。『あなたに

転勤してもらおうと考えている』。?。 先ほど述べたように転勤の内示にしては、原則から

大きくずれている。その上司は続けて『海外へ転勤』と来た。国名は言わない。

 

結構もったいぶっているなと思いつつ、私は、『海外なら中国かな』?と予想しながら、

『どこですか?いつからですか?』と問うと『2007年4月1日からベトナムへ赴任』という

返事が返ってきた。

 

もちろん今まで一度もベトナムに行ったことはなかった。そして当時、私のベトナムに対する

印象はあまりよくなく、“ベトナム戦争”“ボートピープル(難民)”“ベトナム戦争時のアメリ

軍の枯葉剤の犠牲になったべトちゃん、ドクちゃん”“発展途上の混沌とした国”というぐらい

のイメージしかなかった。

 

また英語も忘れている上、現地語など全くわからないのでコミュニケーションの問題もある。

しかし、私もサラリーマンの身であり、原則社命である辞令に背くのはなかなか根性がいる。

 

また一方で、私はこの会社に入って10年間営業マンとして働き、その後、営業本部に異動し、

営業戦略立案、そしてその推進のお手伝い(能力の高い先輩、上司に囲まれて、私は本部

ではお手伝い業務が精一杯だったというところだ)で6年目というところだった。

 

異動の多い私の会社では、そろそろこの本部からもその異動の時期になっていた。

『このまままた国内営業へ異動というのも、あまり変化が無く面白くも無いな』とも、

ぼんやりと思っていた。

 

このため、『海外で仕事するのも悪くないな』という、いわば期待と緊張が織り交ざった複雑な

心境であったことを今でも覚えている。

 

私の直属の上司は人間的にできた人であり、取締役営業推進部長でもあった。

『こんな時期に内示するのは原則ルール違反。しかし、あなたはおそらく初めての

海外赴任であり、家族も連れて行くことになるだろう。だから早めに伝えた。

 

ちょうど11月、12月はベトナムではビジネスの繁忙期。一度下見に行ったらどうか?

それでどうしてもベトナムが肌に合わないなら、止めればいい』。

 

こんなことを言われて引き下がれる訳はない。もう私の心は、『よしベトナムでビジネス

をやってみよう』と決意が固まっていた。38歳の秋のことだった。