shyumahaのブログ

海外でリーダーシップを発揮して働くために、私が海外勤務経験から得た体験記を記しています。

95.海外でリーダーシップを発揮して働くために

―コラム(ピストル事件、かばん強奪事件)―

ベトナムという異国の地で生活していると、いろいろ想像外のことが起こる。

そのひとつがピストル事件だ。これは事務所にピストルが打ち込まれ、その弾が

事務所内に転がっていたというものだった。私が赴任した翌年2008年の旧正月

休み明けに起こったことである。

 

私はいつものように、事務所に出社した。旧正月休みは当社では2週間ほどの

大型連休である。この休みに入る前は、しっかり戸締りをしてから休むので、

休暇明けはまずこの戸締りをすべて開放することからはじまる。

 

私は、自分の席について、業務を始めようかと思ったときに、戸締り開放をしていた

あるスタッフから『所長、2階にピストルの弾が落ちています』と叫び声が入った。

私は日本で平和ボケしていたので、そんなバカなと取り合わなかったが、しばらく

たってから2階に上がった。

 

すると、本当にピストルの弾が落ちていた。それは2階の窓を下から入り、天井に

当たって跳ね返り、ホワイトボードを突き抜けて下に落ちていた。おそるべき威力である。

当然 地元の警察署とハノイ本社、日本の本社に報告はしたが、地元の警察も旧正月

あけで、気合が入っていない。

 

そういえば警察官の顔も多少赤かったような気がした。酒でも飲んでいたかもしれない。

その警察官は、『あなたは日本人か?(当然 ベトナム語)』。私『そうです。』。

『あなたが日ごろ悪いことをしていないなら大丈夫だ』などと訳のわからない忠告で終わりであった。

 

ハノイ本社も、日本の本社も対策などあるわけは無く、気をつけてくださいというそっけない

返事であった。

 

私は、ここは日本ではない。自分の身は自分で守る必要があると少し気を引き締めたものだ。

特にこの後3ヶ月間は、背後に注意するようにした。実は思い当たる節があり、長年勤めてくれた

ベトナム人スタッフに旧正月前に、ある理由で辞めてもらった経緯がある。

 

あとから、他の日本人同僚に聞くと、その人が現地マフィアに依頼して、威嚇射撃を

行ったのではないか?ということであった。殺すつもりまでないので、絶対に人がいない

旧正月に行ったのであろう。という推測であった。

 

実は、マフィアにこういうことを依頼するのはベトナムでは結構あるようだ。後日、

ある販売店さんの夫婦が離婚になったときに、元奥さんの方がマフィアを雇って、

元夫を撃たせたという事件があった。幸い急所を外れたので、大事には至らなかったようだが、

恐ろしいことだと改めて思った。

 

また、もう1つは、かばん強奪事件である。これも旧正月直前に、ハノイ本社への出張

直前に起こった。私はたまたまホーチミンの空港へ行くために、事務所の外でタクシーを待っていた。

 

そのときは荷物が多く、両手に荷物を持っていた。タクシーが目の前に来て、まさに乗ろうと

したとき、一方通行の逆から(私の背後から)来た2人乗りのバイクが私のかばんを強奪して、

走り去った。幸いパソコンなどは入っていなかったが、まあまあのお金とパスポート、カード、

運転免許証などが入っており、これには往生した。

 

即、現地の警察に行き、事情聴取(といっても当然 ベトナム語なのでスタッフに

ヘルプしてもらうことになる)、日本の領事館でパスポート差し止め。

カードの凍結などいろいろと手間がかかった。

 

ベトナム人スタッフは、旧正月前はとくにこういうことがよく起こる。同じベトナム人として、

はずかしいすいません。などといってくれた。まあ日本でも殺人や強奪事件はあるので、

別段ベトナムが特別ということではない。

 

いずれにせよ、海外生活に慣れてきたころが油断も生じ危ないので、よく気をつけなければ

ならないと身を引き締める思いであった。

 

全体的に見て、ベトナムは安全で過ごしやすい国であることは事実と思う。また心優しい人も

多い。ただ、私のように油断するとこういうことも起こるということである。まあこれも経験のうちだ。