88.海外でリーダーシップを発揮して働くために
あとは、交渉のとき、私もよく頭に血が上ってしまい、相手と私という敵対関係で
捉えてしまうことが多い。こうなると大抵はうまくいかない。我々ビジネスマンは、
ビジネス交渉がその大半である。喧嘩ではないので、相手を土俵から落として
しまえばビジネスは終わりとなる。
・ まずは相手の真の要望と自社の真の目指すべきところは何か?
・ その上で、双方が比率は異なるがメリットを享受できる方法はないのか?
それは短期で実現する必要があるのか?長期での実現でもいいのか?付帯条件で
緩和は可能か?などいろいろな観点から合意に至るための方策を譲れる範囲も含めて
徹底的に事前に考えておく努力が必要と思う。
・ 上記を準備した後、交渉時には、しっかりと論点を確認しながら、冷静に進めていく
必要がある。(ちなみに交渉時は、努めて冷静にしようとしていても、双方ともに頭に
血が上ってしまうことが多い。実際に私もそうであった。
また、交渉相手が席を蹴って退場したこともあった。だが少なくともこちら側から席を
蹴って退場することは慎む必要がある)。
・ 交渉をした結果、合意に至らなかった場合は無理に合意するのではなく、
一旦時間をおいて、また交渉した方がいいと思う。その方が実際の交渉で相手と
自分の真の目的が見えてきている場合も多く、さらに良い合意策につながる場合も多い。
・ 最後にビジネスは、同じ相手と長く付き合うことが多く、そういう意味では、様々な
交渉ごとが永遠に続く。こういう状況の中、すべての交渉ごとに全勝目指して交渉を
すすめると、最終的にはビジネスは成り立たなくなると思う。やはり少し勝ち越しながら、
3勝2敗(どこかの本にも書いていたが)くらいで進めるのが、ビジネス交渉のイメージと思う。
現場での交渉は、本社から見ると甘いと思われることが多いようだ。だが、実際に商売で
関係する生身の人間と毎日顔を合わせなくてはならない現場サイドを、甘いとの一言で片付けるスタッフは、これもまた現場がわかっていないといえる。
情に流されすぎてビジネスにならないのは論外だが、一方的に共感なき理屈とパワーだけで
押し切ってしまって長期関係を考えない人もまたビジネスマンではないといえるだろう。
ビジネスは自分だけが、極端に得をするようなビジネスは、短期では成り立つかもしれないが、
長期的には相手が逃げて結局成り立たないと思う。相手もビジネスという土俵から降りる権利
があるからである。
ある交渉課題で、お互いの接点を徹底的に探し求める努力をしても、結果的にもし、
こちらからのみ押す交渉(つまり、相手には何のメリットもない交渉)を進めなければならない場合は、
最悪 相手と喧嘩別れになっても仕方ないと腹をくくることが必要である。