85.海外でリーダーシップを発揮して働くために
最終の交渉
上記のように社内の意思も統一した上で、社長同行で交渉に臨む。
営業所長は何でもかんでも社長にお願いしていては意味が無い。
ここぞというときに社長に依頼する筋道やストーリーを組み立てておく必要がある。
また社長も面倒くさいとは思わずに、常に部下とコミュニケーションしておき、
外に出るべきタイミングを図っておく必要がある。
この日は14時から代理店で交渉が始まった。こちらは社長が来ているので、
最初は当たり障りの無い挨拶、和やかなムードで始まる。
だが、本題も中核に差し掛かると、激しいやり取りとなった。
まあ今まで私が交渉してきたことの蒸し返しが中心だ。社長にはすべてこれまでの
交渉内容も伝えてあるので、びっくりする内容は無い。
社長も今までの感謝の気持ちを相手に伝えつつ、当社のあずけ在庫廃止の意思
をはっきりと主張する。社長からは、『当社倉庫から、代理店倉庫までの配送を負担する。
ただし、その分地方への配送サポートは、減額する』。という最終提案がされた。
代理店も、今まで交渉してきて、さらに今回は社長まで来ているので、当社の意志は
固いこと。リスクは多少増えるが、決定的なダメージには至らないであろう事から、
渋々認める方向になってきた。
ただ、彼らはここからさらに、粘ってきた。以下の譲歩案を突きつけてきた。
・ この案は、承諾するが、実行まで2年待ってほしいこと。
→私は待っても1年という意見。
・ あずけ在庫で長年たまった売れていない在庫をすべて引き取ってほしいこと。
→条件付で引き取る。1年以上前の在庫は引き取れない等。
この後もいろいろやり取りがあったが、結果は、2年待つ。売れない在庫は1年以内の
在庫は引き取るが、それ以上の在庫は引き取らないことで決着した。
まあ、この交渉を甘いと判断する方もおられると思うが、結果的に今は、
スムーズに出荷時点で売上計上ができ、代理店も大きな混乱無く業務を継続している。
経費も、ハノイから陸送していたのを、船便に変えて当社ホーチミン倉庫まで運ぶようになった。
これで陸送より経費の節約が可能になった。また、在庫も無駄な在庫の削減が進み、
キャッシュフロー改善に多少でも貢献したと思っている。