65.海外でリーダーシップを発揮して働くために
2)各代理店との売上計画交渉
作成した売上計画に基づいた販売台数を元に各代理店との交渉を始めた。
従来は売上の絶対額のみを提示し、それを元に売上計画をもっと下げてくれ
という代理店側との要望とのせめぎあいが主だった。
(代理店には売上達成度に応じて、当社からリベートが支払われるため、
売上予算を抑えようとの意向が働く)。
ただ、今回はそれを供給台数と連動させているので、売上予算を抑えれば
当然供給台数も減少するということになる。それを伝えると、代理店は『いや、
売上は抑えてほしいが、供給台数はこのまま、あるいは増やしてくれ』ときた。
私は、『それは無理です。売上を抑えるなら、供給台数を減らします。そしてもっと
やれるというほかの代理店に供給します』。これは結構相手との予算交渉に有利に働いた。
彼らは当社の他の代理店とは競合関係にあるので、下手に売上予算を減らして、
供給台数を減らすことは戦う武器を減らすことになるからだ。(右肩上がりの新興国だから
できること。日本ならどうぞ減らしてくださいになりかねないが)。
また、グラフで月別売上推移も一目瞭然なので、彼らはそのグラフを持ち帰って
自分たちで多少修正したいと言ってきた。ここまでくればしめたものである。
予算の共有化ができつつあるということだ。また、工場にもあらかじめ伝えて確認して
いるので、予算を達成するために必要な台数は欠品しないことになる。
私は代理店に、『予測以上に売れた場合もできる限り供給努力はするが、この予測で
工場に生産計画を立ててもらうので、予測を20%以上も上回ると追いつかなくなる
可能性は理解してほしい』と申し添えた。
1週間後 各代理店からの数値がでそろった。ほぼ全体の計画額は変わらず、
月別が多少修正されたという形だった。前述したが、これを毎年行うことにしたので、
グラフは前のデータを残しつつ、どんどん新年度分が増えて、どういう傾向かも一目
でわかるようになった。