45.海外でリーダーシップを発揮して働くために
とたんに、現地スタッフ間で、ベトナム語でがんがん会話が始まる。
私は、彼らが何を会話しているか全くわからないが、こういう喧々諤々が大切だと
考えているので、しばらく放っておく。
注意しないといけないのは、議論が大きくそれたりする場合だ。例えば、2で
『我々の主なお客様は販売店』と定義したが、現地スタッフが『いやちがう、エンドユーザーだ』
という場合だ。このときもそういう意見が出た。
私はそれに対して、以下のように聞いた。『確かにエンドユーザーが最終的には我々の
真のお客様。でもトイレを販売店に買いにくるエンドユーザーの内、何割ぐらいが当社の
トイレを指名する?』 多分感覚でしかわからないよね。多い?少ない?
さらに、『では逆に、販売店が当社のトイレを来店されたエンドユーザーに薦めなく
なったらどうなる?』、『エンドユーザーからの指名買い推進と、販売店からエンド
ユーザーへ薦めていただくことの推進、どちらも大事だが、どちらか一方を選択する
としたら、どっちが効果的?且つすぐ行動に移せる?』。
『販売店→エンドユーザーへの推進をまず行い、その過程でエンドユーザーへの
啓蒙もできないか?』とさらに議論を進めた。
また、1の『3つの普及商品が業績を引っ張っている』ことについても、『いや、
高級品の利益率は抜群にいいので、これが引っ張っているのでは?』という意見が出た。
これに対して私は、『利益の元となる売上は販売台数×単価なので、販売台数も単価も
上がることが理想。だから普及品から高級品まで全部のばそう』ということになる。
『しかし、我々は大きな生産設備を持っている。この稼動が落ちると、原価も高くなり、
結果的に利益率に響く。この稼動の90%が普及3品番で成り立っている事実を
まず理解してもらいたい。
全売上額も大部分がこの普及3品番になっている』。且つ『どこの商品もそうだが、
大体 高い商品ほどどれだけがんばっても、リーゾナブルな商品の販売台数には及ばない』。
『だから、そういう特質を理解したうえで、どちらもうまく伸ばす策を考える必要がある。
ただし工場という設備を持っている以上、高級品特化はいいように見えて危ない』。と
前述の固定費、変動費のモデルも例に出して伝えた。
他にもいろいろ意見が出たが、大方1、2までは現地スタッフは納得したようだった。
その上で、3,4の議論に入った。
3、4の議論のポイントは、特に注力販売店に対して、
●充分な商品を迅速に供給すること。
●エンドユーザーへ売りやすいようにすること。
とした。